COLUMN

睡眠のキホン

浅い睡眠や深い睡眠という言葉を耳にします。

睡眠の深さとは何でしょうか。

ノンレム睡眠から始まりレム睡眠までの周期を繰り返す

脳波や眼球の動き、筋肉の状態などから睡眠はいくつかの段階に区別されています。下の図は、一晩の睡眠の経過を示しています。横軸は消灯時から点灯時までの時間経過、縦軸はアメリカ睡眠医学会(American Academy of Sleep Medicine: AASM)で用いられている睡眠段階を示しています。

Wは覚醒、Rはレム睡眠、N1からN3はノンレム睡眠の段階を表しています。日本では、N3を睡眠段階3と睡眠段階4と区別することもあります。

通常、睡眠はノンレム睡眠のN1から開始し、N2、N3を経てレム睡眠のRが出現します。ノンレム睡眠とレム睡眠は周期的に交互に出現します。1回のノンレム睡眠とレム睡眠の周期は約90分と言われていますが、実は70~110分の間で個人差があります。一晩のうち、この周期が4~5回繰り返されます。

一晩の睡眠経過

深い睡眠とはノンレム睡眠のstage3(睡眠段階3と4)を指す

「深い睡眠」とは図でN3の睡眠(stage3)を指します。深いノンレム睡眠は、昼間に酷使した大脳皮質を冷却し、休養を取らせます。また、交感神経の活動も休息し、心拍数や呼吸数、血圧も低下します。いわゆる「浅い睡眠」は図中のN1やN2であり、Rで示されているレム睡眠ではありません。

レム睡眠も重要

レム睡眠は「浅い」のではなく、ノンレム睡眠とは「別の」種類の睡眠と考えられています。レム睡眠のレムとは、睡眠中に眼球が素早く動く(Rapid Eye Movement)から名づけられました。レム睡眠時、体はもっとも休息している状態ですが、脳は比較的に活発に活動していて夢をよく見ます。また、レム睡眠は朝方に多く出現し、その時期に血圧や脈拍が上昇するので覚醒への準備状態にある睡眠とも考えられます。

乳幼児のレム睡眠は脳の発達に欠かせない

レム睡眠は胎児や乳幼児では「動睡眠」と呼ばれます。この睡眠状態の時、中枢神経系や筋肉系を始動させるシグナルが出され、胎児が盛んに動きます。レム睡眠は、大脳の機能を発達させ、大きく成熟させる大切な役割を担っています。下の図のように、妊娠後期と生後1年間はレム睡眠が非常に多いのですが、覚醒時間が長くなるにつれて徐々に減少します。一方、ノンレム睡眠は、覚醒時間と同様、出生後に増加します。

睡眠の発達

出典)Hobson(2009) Nat Rev Neurosci. ;10(11):803-13.より翻訳

睡眠は体温と密接に関係する

模式図のように、体温は一日の中で変動しています。体温は早朝が最も低く、そこから2~3時間後に起床することになります。起床後、体温は上昇し、夕方から夜にかけて最も高く、その後、下がり始めます。私たちは、この体温が下がる時に眠くなります。この時、手足から体の熱が放熱されます。眠くなった赤ちゃんや子どもの手が温かくなるのは、この現象です。

体温変化と睡眠

睡眠はホルモンの分泌に影響する

「寝る子は育つ」の文字通り、体の成長や修復、疲労回復に重要な成長ホルモンは寝始めの深い睡眠時に最も多く分泌されます。乳汁分泌を刺激するプロラクチンは、睡眠直後から分泌が開始され、睡眠後半に向かって上昇し、翌朝の覚醒後に急速に低下します。昼寝でも分泌量が上昇することが分かっています。